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橈骨遠位端骨折治療
-透視下整復とロッキングプレート固定の実際-

trauma国家公務員共済組合連合 平塚共済病院
整形外科・手の外科センター 部長 兼
横浜市立大学大学院医学研究科 運動器病態学(整形外科)客員教授

坂野 裕昭 先生



はじめに
trauma現在、橈骨遠位端骨折には、掌側ロッキングプレート固定術が非常に多く使われるようになっている。関節内骨折における関節面の整復方法は透視下、鏡視下、直視下の3種類が選択出来るが、学会等では透視下で行っている術者が最も多い現状である。この透視下整復で重要な武器になるのが画質および性能の良い透視装置である。我々も基本的には透視下整復固定術を基本として橈骨遠位端骨折治療を行っているので紹介したい。



橈骨遠位端骨折治療における イメージ上のポイント
1. 橈骨遠位関節面の軟骨下骨を明瞭に同定
橈骨遠位端骨折においては、軟骨下骨の同定が関節面の整復状況の非常に重要なポイントである。そのため、軟骨下骨がいかに明瞭に同定できるかがイメージでのポイントとなる。軟骨下骨が明瞭に見えれば遠位のロッキングスクリューが適切な位置に刺入できることにつながり、関節の中に誤進入してしまうリスクも減る。また、関節面の転位の状況が把握できる。関節面の転位は、lunate facetからscaphoid facetの全体的な関節面の転位を、単なる側面像という形ではなく通常の側面像からfacet view まで患肢を挙上しながら(0°の腕を伸ばした側面から拳上位にもっていく動的な状態)連続的に観察して関節面の連続性な転位を確認していくことになる。

2. 被検体の位置の影響を受け難い
橈骨遠位端骨折治療では、被検体である手は様々な位置を取らなければならないことから、必ずしも手を視野の中央に位置取りできるとは限らない。そのため、被検体が視野の中央になければ綺麗に見えない透視装置では支障を来すことになる。(多く透視装置では視野端部に被検体が置かれると輝度・コントラストのバランス不足に陥り、十分な画質を得られないことが多い。)

3. 金属製デバイスやインプラントによる影響を受け難い
掌側ロッキングプレートを使うため、金属製のデバイスやインプラントが透視視野内に入ってくる。金属性デバイスが透視視野内に入る段階で過度のハレーションが起こり、それによって軟骨下骨がみえなくなってしまうということでは手術手技が困難になってしまう。デバイスやインプラントなどが視野に入らない手技当初にX線条件をAutoで最適な条件に設定させた以降、Autoを外してX線条件を固定させる方法もあるが、橈骨遠位端骨折治療のように様々な位置と角度の透視を必要とする手技においては、その方法だけでは術中十分に満足した画質は得られにくい。やはり、ハレーションを抑制する画像処理機能があれば活用したいものである。

4. 拡大モードが使用できる
関節面を適切な位置に治すためには、画像を拡大してみる必要性がでてくるので、透視では拡大モードが使用できるということも必要な条件である。拡大率は3段階程(9-6-4.5インチ)あると有効と思われる。これはデジタルズームのような画質劣化は起こらない。

5. 被ばく量の低減
透視では一般的に被ばく量が問題だが、いかに低減できるシステムをもっているかということも重要なポイントである。低線量モード、パルスモード、そして絞り(collimation)などの機能を術中の局面に応じて活用すべきであろう。

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使用透視装置…OEC9900 Elite
我々はGE社製のCアームをOEC9600から使い始め、OEC9800になり、現在のモデルOEC9900Eliteにバージョンアップしている。

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OEC9600では画素数は512×512で26万画素だったが、OEC9800以降は1000×1000の100万画素となり関節面が大変綺麗に見えるシステムになっている。OEC9600での26万画素でも大腿骨頚部骨折などの手術をするにはあまり大きな問題にはならないが、我々が行う手の手術において細かい部分での細かい変化を見るには、非常に粗い画質になる。また、被検体が透視視野辺縁にずれたりする場合もなかなか見にくい。透視視野内に金属類が入り、ハレーションが起こると、それも見辛くなる。

OEC9800からはそれらを画像処理で解決できた。さらにOEC9900からバージョンアップした機能としてデジタル画像処理(ダイナミックレンジマネージメント)、サスペンションモニターアーム、高輝度高コントラストな液晶モニターなどがある。新たなデジタル画像処理では、被検体を透過しCCDカメラで得た電気信号を周波数毎に輝度・コントラスト・輪郭を最適化し、更に1枚の絵として統合することができるようになった。以下に画像を紹介する。

<金属製インプラントの影響>
インプラントやデバイス等の金属類が透視視野に入ると骨部分がハレーションのため見難くなることを経験することが多いと思う。この現象はX線吸収値が高い金属類によってX線条件が引上げられるからである。OEC9900は、この現象をヒストグラム感知することで金属類が挿入されると例外的なX線吸収と認識し自動的に除外するデジタル処理がなされる。結果、程よいコントラストが保たれ、骨部分も綺麗に描出される。通常我々は側面像で軟骨下骨を見ながらガイドワイヤーを入れるなどの処理をするが、図のように金属が入っても軟骨下骨が同定できているのがこの画像の特徴である。側面のfacet viewがいかにきれいに見えるかということを表している。(図2)

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<視野端のハレーション抑制>
視野辺縁は輝度不足になることも経験することと思われるが、OEC9900は自動的に輝度調整してくれるため、視野すべてを有効活用して患部の状況を確認判断できる。(図3)

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<3段階視野の切り替え>
関節面を見るにあたっては拡大モードは非常に重要になる。関節面のずれをみるには、通常の9インチの視野から6インチ、3段階まで持ってくると4.5インチで図4のように綺麗にみることができる。側面でロッキングのスクリューを入れる際にもこのあたりが綺麗に見えるか見えないかがポイントになってくる。

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<軟骨下骨の同定>
金属が入ってもハレーションが抑えられているので、骨が良く見えている。(図5)側面像でターゲットが視野辺縁にきてしまっても黒く潰れたりせず見えている。これは視野内で被検体位置の影響を受けにくい画像処理がされていることを示している。通常は透視視野の中央部分をDetect検出しkvとmAを調整し画像化するが、OECの場合は自動画像処理により、辺縁にいっても軟骨下骨をみることができる。要は被検体の透視視野内の位置の影響を受け難いと言える。従って、手術中に手を動かしても術野によって見難くなることはあまりないということになる。

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<関節面転位の同定>
関節面が非常にばらばらの骨折で、CTで見てやっとわかる状況であっても、CT画像で見られる白い骨片もOECの透視イメージ上でもDetectできている。軟骨下骨がばらばらになっているのが透視画像上でわかり、骨折状況を正確に反映できている画像である。(図6)

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<透視装置のセッティングについて>
モニターに直接牽引をかけて、透視装置は術者と機械出しの間からアームを出し入れする形で手術をしている。通常、座って手術をするが、サスペンションアームで支えられているモニター自身が360度方向に動くので、術者に向かって手前に引っ張って、下げると近くでモニタを確認することができる。これは術者の体勢にも楽で使い勝手が良いシステムデザインと言える。(図7a)

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<放射線被ばくについて>
放射線被ばくの問題については、図のようにセッティングすると通常放射線が下から上へあがってくるので、手にあたる段階ではアームボードを介して被ばくは若干減衰している。(図7b)アームボードを介しての散乱放射線に関しては、ほとんどプロテクターで防護できる。必要以上の線量がいらず細部が見えなくてもよいようなシャフト部分の操作などの場合には、低線量モードを使うことができる。OEC9900の低線量モードは通常多用する標準(Normal)モードに比べて、線量をおよそ50%OFFにできる。画質を比較すると、単に線量条件を半分したものより、画質が良いことも確認済みである。この低線量モードを活用しながらできるだけ自分達の被ばくも少なくしていくことが可能である。

透視下整復術の実際
実際に透視下手術をした症例を供覧する。70才女性C3.3関節面もかなりバラバラになっており、3DCTでも掌側の皮質が折れてバラバラの状態になっていることがわかる。

<術前画像>
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<手術手順>
trauma1. 関節内にフラグメントがはいっている(正面像の矢印の部分)。骨折した状態で関節内に皮質骨が迷入してしまった状態である。



trauma2. 迷入した皮質骨までを同定することは難しいが、透視下でモスキートを用いて摘出する。関節内の異物は透視下でそれなりの大きさがあれば、十分摘出可能ということになる。



trauma3. 関節面がV字に転移しているので、掌側からキルシュナー鋼線を入れて、入れたキルシュナー鋼線で関節面を整復する。



trauma4. 関節面を整復した状況で、背側と掌側がばらばらになっていると関節面が保持できないため、背側からキルシュナー鋼線を入れる。背側から入れたキルシュナー鋼線と掌側から入れたキルシュナー鋼線で両側から金属が入ってきているものの軟骨下骨が綺麗に描出されている。



trauma5. 軟部組織をプロテクトでスリーブが入っているので、スリーブ越しにKワイヤーを背側の皮膚の方に貫通させて抜くという方法で処理をしていく。手術時のモニターではKワイヤーが引き抜けてきている状況を確認しながら進めることができる。



traumatrauma6. 側面の整復を終えた場合は転位を正面像で直さないといけない。(動画左)エ�����トリウムを使ってGAP、Step-offがあった関節面を持ち上げ、軟骨下骨の面が合ったところでKワイヤーを進め軟骨下骨を保持する。(動画右)



trauma7. 追加でキルシュナー鋼線をもう一本入れる。通常関節面は2本のキルシュナー鋼線で固定する。矢状面、冠状面両方向に骨折している場合は、4本のキルシュナー鋼線を入れて固定することになる。(図左)通常近位側が尺側にシフトしてしまうので、レトラクターを使用し、橈側にひっぱり整復する。(図右)



trauma8. 最後に人工骨を入れ、次にプレーティングを行う。プレートが入った状態でも軟骨下骨が綺麗に描出されていることが確認できる。(図左上)これ位画質が良いと、デジタルズームで拡大しても十分綺麗に見えてくることもわかる。(図右上)



traumatrauma9. この状態でスクリューを入れるための仮固定をしていく。周囲にたくさんKワイヤーがはいっており邪魔になる。プレート越しにKワイヤーを刺入することによって必要以外のKワイヤーは全部抜去していく。透視を見ながらスクリューを入れて、コンディラースタビライジング法で整復していく。橈骨茎状突起側を見ても問題なく入っている状況が確認できる。側面においても確認できる。



trauma10. 背尺側に向けたドリリングでは先端は掌側のエッジの部分まで行う必要があるため、その部分が見えるかどうかが非常に重要なポイントになる。



trauma11. 最終的に綺麗なできあがりを確認できる。



まとめ/今後の展望
橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定術は現在本骨折治療のgold standardになっている。軟骨下骨を正確に同定することで遠位のロッキングスクリューを適切な位置に刺入することや関節内骨折の正確な整復が可能になる。特に、治療対象患者の高齢化に伴い骨粗鬆症を有する骨に金属製の内固定材料を用いて固定するために金属によるハレーションが問題になる。金属材料が入ってもハレーションをおさえる機能を有するX線透視装置は本手術の有力な武器になるのである。技術でカバーする部分もあるが高性能の武器があれば完璧な手術が可能になる。

現在、手外科用に開発されたX線透視装置も存在するが画質に問題があるため高精細画像を望むことは出来ない。今後も透視を使用した手術法が主流であると考えられるので、理想のX線透視装置の条件として如何に小型軽量でかつより高精細な画質が得られるか、更により被ばく量を軽減した器機があげられる。これらの条件を満たした透視装置が今後10年以内に開発され実用化されるように期待したい。

薬事情報

カタログ記載名称 医療機器薬事許認可番号 販売名称
OEC 9900Elite 認証:221ACBZX00018000 OEC 9900シリーズ
※お客様の使用経験に基づく記載です。仕様値として保証するものではありません。